
人間でも結構珍しい双子ちゃん。
魚にも存在するって知ってました?
学生時代に双子のお魚を発見したので、その時の写真を交えて紹介したいと思います。
双子の魚
さっそく写真から。
この通りお腹が繋がっています。
このような体が繋がった双子はシャム双生児と呼ばれます。
写真の魚はギンザケといいます。
孵化してから3週間くらいの赤ちゃんです。
2尾の魚を繋いでいるオレンジの袋は卵黄嚢といいます。
孵化したばかりの魚は、餌を消化する能力が発達していないので、ある程度成長するまで卵黄嚢の中の栄養を使って生活します。
飼育していた頃のお話
ギンザケたちは実験に用いる為に、養殖業者から分けていただいたサンプルの余りです。
本当はそのまま捨てられてしまう運命だったのですが、研究を担当していた後輩に譲ってもらいました。
ちなみに研究の方ですが、病気によって多くのギンザケが死んでしまっているという問題を解決するためのものです。
多くを生かすための小さな犠牲とは言いませんが、今後の養殖業の発展に必要な犠牲です。
サンプルとして犠牲となった彼らは慰霊碑できちんと供養されています。
サンプリング直後の卵。
研究室で人工授精したものです。
孵化後の写真。
30cm水槽でエアレーションのみで飼育していました。
卵黄嚢付きの仔魚(赤ちゃん)が沢山います。
その後、卒業となり飼育を続けることができませんでしたが30cm水槽の仔魚たちは、餌を食べるようになり、約4cm程度まで成長しました。
双子ちゃんですが、何故かなかなか成長せず他の魚が稚魚に成長しても仔魚のままでした。
ちなみにギンザケとは?
学名 Oncorhynchus kisutch
英名 Coho salmon
日本では基本的に水揚げされることのない種類です。
天然はアメリカ、カナダ、ロシアなど、養殖はチリが主な産地です。
日本でも宮城県を中心に養殖が行われています。
市場では主に塩鮭として流通することが多く、コンビニおにぎりの鮭に用いられています。
世界中で非常に養殖が盛んな種であり、我々日本人も頻繁に口にしている重要な魚です。
終わりに
実は当時、今回紹介した写真の他にも数個体の双子を確認しています。
特に0℃を下回る寒い日に採卵した後、約1時間の道のりを経て、約15℃前後の研究室で受精したサンプルにおける発見率が高かったと記憶しています。
輸送の時間や受精作業時の条件は別日のサンプルも同じであるため、採卵時の低温が影響している可能性が考えられます。
シャム双生児となってしまった個体は自由に泳ぐことができず、不自由な一生を送ることとなるため、いつか研究者が実験して解明する日が来るのを期待しています。