
私達が普段食べているスルメイカ。
冷蔵庫に入れておいたら青白く光っていたことってありませんか?
何かヤバイものが付いているのでは?と焦ってしまいますよね。
でも心配しなくて大丈夫。
イカの体の表面に普通に棲んでいる菌(バクテリア)の仕業なのだから!
ではその菌が何者なのかご説明しましょう。
ついでに、どうやったら光るイカを見ることができるのかもご紹介!
Contents
光る菌
イカを光らせる菌は
Vibrio fischeri(以下、V. fischeri)
といいます。
イカの体の表面に多く生息していることが知られている、発光細菌の一種です。
V. fischeriなどの発光細菌はルシフェリン−ルシフェラーゼ反応という酵素反応によって発光しています。
この反応では、ルシフェリンがルシフェラーゼとマグネシウムにより ATP と結合し、ルシフェラーゼによって酸素と結合します。 AMP、二酸化炭素を放出することでオキシルシフェリンとなり、エネルギーを放出します。このエネルギーが光として認識されるため光って見えます。
発光細菌は密度が一定以上になると、互いの分泌する物質を感知して光る為、ある程度増えないと光りません。なので、普段は発光細菌が増える条件がたまたま整った時しか光る姿を見ることはできません。
上記の説明なんかよりも、光っているイカを食べても大丈夫かという点が一番気になりますよね?
食べても大丈夫です。
というか食べてます。
だって通常、イカの体表に生息している菌なのですから食べていて当然です。
消費期限内で、冷蔵保存をしっかりしていたのであれば心配する必要はないので、安心して美味しく召し上がってくださいね!
気持ち悪いとか言うのはダメですよ!
光るイカを見たい!
お家で光るイカを見るのは簡単!
方法を説明するので、ちょっと試してみませんか?
材料
生スルメイカ1尾、3%食塩水500mL、バットや浅くて広いお皿
1、イカを水洗いせず、内臓を取り除く
2、熱湯で消毒して冷ましたバットにイカを広げる
3、表面が浸かりきらない程度に食塩水を入れる
4、ラップをかけ、15〜25℃で一日置く
作業はコレだけです。
一日経ったイカを暗いところで観察してみてください。
この手順でうまくいかなかった場合は、購入したイカがお店に並ぶ前に水洗いされていた可能性が考えられます。
V. fischeriは海洋性の細菌なので淡水(真水)が苦手です。一度水洗いされると流れてしまったり、増える力を失ってしまったりします。
失敗した際には、別のお店のイカを使って試してみてください。
終わりに
今回ご紹介したV. fischeriを始めとする発光細菌は、重金属イオンを添加すると発光が弱くなることから、環境汚染の度合いを測ることができると期待されています。
現在では様々な研究者の方々が研究を勧めている、スゴイ菌だったりします。
もちろん研究されているだけあって、増やす(培養)方法も確立されています。
現在では、Marine Broth 2216 (Difco)といった培地が用いられています。
イカを煮出し、その煮汁を寒天で固めた培地でも簡単に培養することができます。
このように私達にとっては、ただ光って気味が悪い菌も、様々な試行錯誤を重ねられて研究されているのです。
普段見かける気持ち悪いアイツも何かの役に経っているのかも知れませんね。
そんなこんなで、とりあえず今回覚えておいてほしいのは
光っているイカは危なくないよ!食べられるよ!
ということだけです。